第123章 トリックオアトリート
ベタベタの体でもう一度ポアロに戻るわけにも行かず、私達は安室さんの家にそのまま向かうことになった。
「ごめんね…ハロウィンパーティーだったのに。」
「僕は別に構わないが、めぐみは楽しんでたんだろ。残念だったな。」
「でも、みんなの仮装見れたし、ご飯もたくさん食べたから。」
「そうか。」
車を駐車場に停めると私たちは見られないようささっと家の中に急いだ。
「ふぅ、降谷さんお先シャワーどうぞ。」
「いや、何を言ってる。」
「…?」
「まだこの服堪能してないだろ。」
「…え。」
「おいで、せっかくのハロウィンだ。」
ぐいぐいと手首を引かれ、ベッドのある畳の部屋に連れてこられた。
「え、えっ?でも、さっきもう車で…。」
「あれはめぐみが酔って誘っただけだろ。それはまた別。」
「さ、誘ってない!」
「…いや。誘っただろ。それに、あんまり自由に動けなかったから足りない。」
「私はもう満足かなー。警察官の降谷さんもしっかり見れたし。」
「トリックオアトリート。」
「…?」
「だから、トリックオアトリート。どっちか選んで。」
「ど、ういう意味だっけ…。」
「さぁ?」
ベッドにぽいっと放り投げられ、短いスカートをぐっと押さえながら、私はベッドの横に立っている降谷さんを見上げた。
ーー意地悪っぽく笑ってる。
トリックオアトリート?
子供にお菓子渡すやつだよね?
子供の頃にハロウィンなんてしてないから、全然わからない。
どっちってどういうこと?
選ぶの?
「Treat me or I’ll trick you.」
「…え?…は?まって、英語だめ。と、とり?」
「くくく。」
馬鹿にしたように笑う降谷さんに私はむっとした表情で睨みつけた。
「わかんない。意地悪しないで。」
「別にしてないよ。可愛いくて仕方ない。」
「…む。」
「ほら選んでよ。」
「まず選択肢がわかんないよ。」
「トリック オア トリート。」
「んーーー…じゃあ“オア!”」
「あっははは!」
「もう!何がおかしいの!英語わかんないんだって!授業出たことないんだもん!」
ABCだって順番に言えないのに!
顔を真っ赤にして怒ると、私の頭をぎゅっと抱きしめ頭をわしゃっと撫でられた。
「もう、愛おしくって仕方ないよ。」