第121章 ハロウィンパーティー(前夜祭)
次の日、私は午後からなので午前のうちに買い物を終わらせてその足でポアロに向かった。
「おはようございます。」
裏口から入って買い物袋を机の上に置いて中身を広げていくと安室さんがお店の方から顔を出した。
「買い物?」
「はい、飾り付けを少しずつ増やそうかと思って。マスターに経費落として貰っちゃった。」
「さすが。手伝う?」
「ううん、今はタグを外したりするだけだから。」
ソファに座って、ハサミで包装やタグを切り取っていると、安室さんが隣に座ってきた。
「お客さんは?」
「今帰ったよ。」
安室さんはカボチャの置物やおばけのシールとかを手に取って見ている。
「可愛いでしょ。」
「そうだね。こんなことするのは初めてかもしれない。」
「そうなの?」
『お友達とは?』って聞こうと思ったけど、私は口を閉じた。
彼の幼馴染は亡くなっているし、同期の仲良かった人たちももう居ないんだった。
それにこんなハロウィンで盛り上がり始めたのもここ数年の話で、安室さんが学生の頃は、ハロウィンパーティーなんて文化無かっただろう。
「ハロウィンって、死者の霊を迎えるお祭りなんだよね?」
「先祖の霊だけどな。悪霊も一緒に帰ってくるから、連れ去られないよう生者も仮装するのが起源だ。」
「きっとみんな安室さんのところに帰ってくるよ。そんな気がする。危なっかしいもん。」
みんなとは私はお話ししたこと無いけれど、なんとなくそんな気がした。
同期のみんなはきっと降谷さんのところに来る。
「僕は危なっかしい?」
「まぁね。だからさ、馬鹿みたいに騒いでさ、楽しんじゃおっか。」
もちろん一番の目的は、京極さんと園子ちゃんが楽しむことだけど。
「今こーーんな可愛い私が横にいて、笑わせて貰ってます。って死者を迎えて驚かせちゃお。」
「ふっ。自分で可愛いって言うの?」
安室さんは優しく笑うと私の頭をわしゃっと撫でた。
「可愛いでしょ?」
「まぁ、笑わせては貰ってますよ。」
グリグリと頭を撫で回し、最後に私のおでこに軽くキスをして安室さんは立ち上がった。
「めぐみさんの言う通り、死者が帰ってくるなら丁重にお迎えしないとね。」
「ねぇ、可愛いでしょ?」
「さ、仕事仕事。」
「ねぇ!」