第120章 園子さま
次の日、マスターに頼まれた仕事をパソコンの前で集中してやっていると、パソコンの横に私が最近お気に入りでよく食べてるチョコが置かれた。
「?」
見上げると安室さんが立っていた。
「お疲れ様。」
「あれ?今日お休みじゃ…?」
「うん。休みだったんだけどね。」
「何かあったの?」
「…いや。」
「?」
私から視線を逸らし、どこか気まずそうにしている。
「昨日は…その…」
「あっ、あれから平気だった?無茶してない?」
「…してないよ。」
「…?」
「ごめん。ほったらかしてばっかりで。」
「へ?」
「怒ってない?」
パソコンの席に座って横を見上げていたが、安室さんの手が私の後ろから机に置かれ、ふわりと安室さんの髪の毛が私の頬を掠めた。
「…私が怒ってると思ってわざわざポアロに来たの?」
「…。」
すりっと、私の首元に頭を擦り付けてきた。
「もしそうなら今怒った。」
「えっ。……いたっ。」
私はガタっと立ち上がった。その拍子に私の後頭部が安室さんの顎に当たってしまったが、まぁ、大丈夫だろう。
「ほら。ソファ座って。」
ぐいっと安室さんの手首を引っ張って黒の合皮で出来たソファに無理やり座らせた。
そして、安室さんのおでこを指先でピンっとしてやった。
「私がそんなことで怒るような女だと思ってたことに怒ってます。」
「…めぐみさん。」
「そんなことで必要もない謝罪に来て、休まなかったことに怒ってます。」
「…。」
「ご飯は?」
「…食べたよ。」
「昨日の夜は寝た?」
「いや…朝帰ってきた。」
「もう。」
もしかしたらそれは降谷さんにとっては、普段通りのことなのかもしれないけれど…。
「ごめん。本当はちょっと会いたかっただけ。めぐみさんは聞き分けがいいというか、文句一つ言わないから、僕は本当に君に甘えてる。」
「…。何かあったの?」
なんだかいつもより元気がないようなそんな気がした。
「いや、べつに…。ちょっと疲れただけ。」