第119章 のんびりと
飛び跳ねた心臓を手で抑えつつ、私は急いでドアを開けた。
「風見さん。何かありました?」
「…いえ。」
言えないのだろう。
「めぐみさん、降谷さんは少し戻れなくなってしまって…。」
「え!?無事なんですか!?」
怪我でもして動けないのかもしれないと思ったら、急に汗が出てきた。
「いえ、そういった心配はありませんから大丈夫です。ちょっと立て込んでしまって…。」
「よかった。じゃあ私は帰ったらいいのかな…。」
「連絡遅くなってすまない。また埋め合わせはする。と降谷さんからの連絡です。」
「無茶せず、怪我なし、頑張って。と、お伝え願えますか?」
笑ってそう言うと、風見さんも頷いて優しく少しだけ笑ってくれた。
「そう言えば、降谷さん食事がまだなんです。もし可能なら…。」
「何か買って行きます。…めぐみさん、すみません。」
そうやって、さっきも風見さんと同じように降谷さんも私に謝っていた。
全然私は気にしていないのに。
後ろめたい気持ちを持つ必要なんてこれっぽっちもないのに。
私が荷物を持って車を降りると、風見さんは車のロックをかけた。
そうか。だからメールじゃなくわざわざきてくれたんだ。
「それでは、自分も戻ります。」
「はい、風見さんも気をつけて。」
「タクシーで帰ってくださいね。一人危ないですから。」
「わかりました。」
風見さんと別れて、ホテルの駐車場から出ると、大通りを歩いた。
タクシーを拾えって言われたけど、なんだかそんな気分になれなくて、のんびりとのんびりと一人家に向かって歩いて帰った。
何も今回が初めてじゃない。
一昨日もそうだった。
安室さんの家でご飯を食べてる途中で、解散になったり。
その前は、朝起きたら横にいなくて鍵が枕元にあって、“鍵はポアロに”とメールだけが入っていたことも。
わかっていたことだけれど、これが公安警察の人と一緒にいるということなんだろうな。