第11章 傷
かぁっと顔が熱くなるのがわかった。
イケメンにそんなことを言われて照れない人がいるなら是非教えてほしい。
メガネを取られないよう、私は顔を背けてソファから立ち上がった。
「からかうのはやめてくださいっ。」
「僕がからかうためだけにここに来ると思いますか?」
「…っ。というか、暇ならポアロ復帰してくださいよ!何してるんですか!」
「いえ、暇じゃありません。今も忙しいです。」
「…。」
何しにきたんだこの人。
瞬きを何度かして安室さんに視線を向けた。
先程私に見せたスマホとは違うスマホを取り出して、何かをチェックしている。
メールだろうか。
「では、僕は戻ります。」
『戻る…』
どこにだろうか。仕事場?探偵業?家?
安室さんの立ち上がり、裏口に向かった。
「無理せず…休んでくださいね。」
「えぇ、今癒されました。あ、ところで、めぐみさんはテニスとか興味ありませんか?」
「テニス?いえ、まったく。」
「今度園子さんにコーチを頼まれたのですが、もしよかったらめぐみさんもいかがです?」
園子さんときたらきっと蘭ちゃんも一緒だろう。ということはきっとあのちっこい名探偵もくる。
「私は…遠慮しておきます。」
「そうですか、残念です。」
「安室さん。これよかったら。食べる時間くらいあるでしょう?」
裏口のドアを開けた安室さんに自分用につくったミックスサンドを渡した。
「ありがとうございます。近いうちにポアロ出られるとは思いますので、また連絡します。」
最後にやっといつもの笑顔になった安室さんに少し安心した。