第115章 公安と人
降谷さんの机の横にコロコロの椅子を持ってきて、何度も録音データを聞いている降谷さんをじっと待った。
ローラさんも何かただならぬ空気を悟ったのか、こちらに近づいて様子をうかがっている。
イヤホンで聞いていた降谷さんは大きなため息をつき、耳からイヤホンを外した。
「風見さんに何かあったのですか?」
「あぁ、誘拐されたようだ。ローラ、風見が最近なんの捜査をしていたか知っているか。」
「たしか、大量の爆薬を盗まれた件と、あとは製薬会社の横領の2件だったかと思います。」
「資料を取り寄せてくれ。」
「わかりました。」
降谷さんは私の方を見た。
久しぶりに目があって、どきりとした。
「録音したのは正解だ。助かった。大きな手がかりだ。」
「何か聞こえたんですか?」
「あぁ。」
「何が…」
何が聞こえたのかと、私が聞こうとすると、ローラさんが私の後ろにきて、私の肩を掴んだ。
「これ以上は機密事項です。」
「…っ。」
「一般人のあなたに危険が及びます。ご協力いただいたことは感謝いたしますが…今日はもうお帰りください。」
彼女の言うことはもっともだ…。
「…わかりました。降谷さん…風見さんを……いえ。お仕事頑張ってください。」
降谷さんの机にあった私の携帯をカバンに突っ込むと私は立ち上がった。
「送ります。」
「いや、僕が送る。」
「しかしっ!」
「ローラは風見の捜査資料を急いでくれ。」
「…はい。」
降谷さんは椅子から立ち上がるとジャケットを羽織った。
「めぐみ、悪い。下までしか送れないが…。」
「充分です。」
関係者しか通れない場所もあるから送ってもらわないといけないけど、あとは一人で帰れる。
降谷さんにはいち早く捕まっている風間さんを救出してもらわないと…。