第114章 風見裕也の災難
パイプ椅子に縛られ、目隠しをされ足首も縛られた。
次にどこを殴られるのかわからないから、身構えることもできない。
腕は恐らく折れてる。
「カバンが見つかるまではこのままだ。…しかし、お前が帰らないと通報されても困るな。」
ぶつぶつと男が呟いている。
「おい、しばらく帰れないと近しい人間に電話しろ。仕事場でも家族でもいい。」
ーーまだ警察関係者だとバレてはいない。バレれば必ず殺される。
しかしどうにかしてこの状況を降谷さんに知らせなくては。
私の電話は着信履歴は必ず消している。それは公安の捜査官全てそうだろう。大切な番号は暗記し、携帯に登録なんてもってのほか。
私の携帯から降谷さんへとバレることはない。
しかし、今ここで降谷さんに電話をして履歴に残れば何かあった時ーー…。
どうすれば降谷さんにつながる。
誰に連絡すればーーー…
警察関係者でもない、公安でもない、でも降谷さんを知っている人物ーー…
「わかった。電話しよう。今から言う番号にかけてくれ。」
「なんだ覚えてるのか。」
「あぁ、大切な人なんでな。」
大切な人ーー。
彼にとって大切なーー。
頼む。彼にーー降谷さんに伝えてくれ…めぐみさん。