第11章 傷
朝、ぼーーーっと目を覚ました。
ここ半年、飲むことが無かったから数杯のワインで頭が痛い。
でも、久しぶりのお酒の席に明るい世界…
楽しかったな…
彼にもイヤリングを取られてしまったが、私はまたしばらく地味に裏で生きることなるだろうから、もう会わないだろう。
偽シンデレラは今日も隠れて過ごすのだ。
「おはようございまーす。」
今日は昼からのシフトなので、裏口からのんびりと入った。
マスターと梓さんがいるはず。
バックヤードであくびをしながら準備をしていると、梓さんが私に気付いたのかバタバタと走ってバックヤードに来た。
「めぐみちゃん!昨日のこと聞いたよ!!!」
目をキラキラさせ、鼻息荒く詰め寄ってきた。
昨日…園子ちゃんか蘭ちゃんに聞いたのだろうか。
二人には黒髪の好青年と踊ったところしか見られていないはずだし、そんな大したことじゃない。
右手に携帯を持っているからやはり教えてもらったのだろう。
「この写真っ!もう!なーに!めぐみちゃんったら!!」
梓さんのスマホをみると何枚も私が写っていた。
…いつの間に。
最初の数枚は黒髪の好青年と微笑み合いながらダンスをする様子が写っていた。
まぁ、これはいい。
昴さんとの写真は何故か昴さんがほとんど映っていない。
私は頬を染め手を伸ばしているのに、昴さんは手だけしか写っていなかったしている。
バルコニーでの写真まである!
バルコニーの下から撮ったのか、私の背中が映っているが、昴さんはこれまた明確には写っていない。が、私の腰に手が回っているため、これじゃあまるでキスしてるみたいだった。
あ、悪意がある。
誰だ撮ったの!
「園子ちゃんのお母様が最後のバルコニーの下からは撮ったらしいよ。いい雰囲気だったからって。他のはカメラマンだって。」
「これじゃまるで…」
「ねー、キスどうだった…いやーん、パーティーで知り合った男性と!めぐみちゃん大胆でかっこいいー!ドレスも素敵だし、美人だしー!」
「ま、まってまって!キスしてないっ!そう見えるだけだよ!」
「えー?こんなに抱き合って近いのにー?」
「そ…それは!」
「ほらー!」
「かっこよかったから…でも、キスはしてない!ほんと!」
「ふーーーーーん。」
梓さんは信じないとでも言うかのような視線でじとーーっと見てきた。