第114章 風見裕也の災難
上司の機嫌が悪い。
ここ最近ずっと思っていることだ。
以前も同じようなことがあったのを覚えている。
ーーそうだ。あの時だ。降谷さんがめぐみさんと喧嘩した時。
あの時自分が「喧嘩ですか?」と聞いたら、「喧嘩じゃない!めぐみが俺よりあいつの方が優しいとか言うから…」とかなんとか言っていたが、どう考えても喧嘩だったんだろうと思っている。
あの時は髙橋がめぐみさんを捜査室に連れてきて、解決したが…
今回は一体どんな喧嘩をしたのだろうか。
「風見。」
「はいっ!」
ビクッとして、椅子から立ち上がった。
声からしてもう怖い。
「ローラを僕の部屋を片付けるよう指示したか。」
「…いえ。そのようなことは。」
「そうか。ならいい。」
部屋の中でローラとめぐみさんと鉢あって誤解されて喧嘩でもしたのか。
彼女は頭の回転が速い。指示する前に行動して助かることもあるが、たまに張り切りすぎる所があるから扱いにくい。
降谷さんをどうにか支えてサポートしようと必死なのはわかるが…。
「風見さん。」
「なんだ。」
また別の日、降谷さんがポアロにいる間、ローラが自分の横に立った。
「降谷さんはベージュとブラックどちらがお好みかご存知ですか。」
「…いや。」
「キャップが汚れたので買おうかと思いまして、やはり夜動くので黒の方がと思ったのですが、降谷さんの髪色からするとベージュの方が目立たないかと思いまして。」
「…両方買えばいいだろう。」
「そうですね。そうします。」
「めぐみさんなら、好みの色も知っているかもしれんが。」
何気なくそう言うと、ローラはふっと少しわらった。
「彼女でしたら、すでに降谷さんから距離を置いたようですよ。」
「…は?」
距離を…置いた?
あの二人が…?
「ご存知ありませんでしたか。ポアロでは安室透として一緒に働いてはいるようですが、降谷さんはもう彼女には会ってません。」
「…なんだと。」
ーー…それで最近機嫌が悪いのか。