第113章 序章
警視庁に車を停め、裏口から入っていく。
私も黙ってついていった。
ーーもうここには来ないと思ってた。
「すまないが、録音されたデータを劣化させずこちらにいただきたい。あと、録音される前の会話のことももう少し詳しく聞きたい。」
「はい。」
あまり使われていないだろう薄暗い廊下を進んでいく。
前に来た、降谷さんの机がある部屋に向かっているのだろう。
「ーーーもう、君を巻き込まないつもりだったんだが…。」
「風見さんを助けたあとお説教ですね。」
「あぁ。」
一度もこちらを振り向くことなく、降谷さんは早足で進んだ。
降谷さんはノックもせずカードキーで鍵を開けると部屋に入った。
久しぶりの降谷さんの部屋だ。
中に入ると、すごくいい匂いがした。
「っ、あなたは!」
ローラさんだ。
女性が一人増えるだけで、こんなにも部屋の雰囲気も匂いも変わるんだ。香水とかルームフレグランスとかそう言ったものじゃない、なんだか優しい匂いがした。
私を見ると、ローラさんは立ち上がり降谷さんに会釈をし、じっと私を見ている。
ーー…居心地が悪い。
ローラさんは前コータさんの席だった場所に座ってパソコンをしているようだった。
降谷さんは自分の席に座ると、パソコンを開いた。
覗いちゃダメだと思って、私は少し離れて立っていると、降谷さんが隣の席をすすめてくれた。
「めぐみ。先程の録音をもう一度頼む。」
「あ、はいっ。」
私はカバンの中の携帯を取り出した。
「降谷さんっ!なぜ彼女がここに!ここは…!」
「めぐみはすでにここの事も、ここを出入りできる捜査員のことも知っている。それにローラも僕に許可なく彼女に勝手にあったんだろう。」
「…っ。」
「それに急を要し、ここに来る必要があると僕が判断した。」
「…はい。」
「めぐみ、携帯を。」
「はいっ。」
私は二人の会話をビクビクと聞きながら、録音した携帯をすぐ聞ける状態にして彼に渡した。