第112章 寂しさを
「待ち合わせには絶対遅れることもない。課された任務は必ず遂行する。あまり普段の会話は馬が合わなかったが、組むからにはなんだかんだと手を貸してくれた。」
「…なんだか、想像ができます。」
赤井さんに習って私もベッドに仰向けになって天井を見上げた。
「探り屋というだけあって、敵を調べ、弱みを握るのが得意だった。その時はバーボンもスコッチも日本の公安だとは知らなかったからな。お互い潜入捜査官だと知らずに悪の組織にいるんだから今考えたら笑える話だ。」
「ふふっ。」
たしかにアメリカのFBIと日本の警察が一緒に組織にいるのはすごいことだと思う。
「アメリカでは昼食をバーガーにするかピザにするかで揉めたこともある。」
「…ぷっ。なにそれ。」
どっちが勝ったんだろう。
ブチブチと文句を言うバーボンの顔が目に浮かぶようだ。
「……人を殺さないといけない時、彼はいつも帽子を深く被っていた。」
「…。」
「俺はスナイパーライフルを使う事が多いから、そんなに相手の近くにいることはないが、バーボンはそんなことはなかったからな。こんな奴が悪の組織の幹部が務まるのかと最初は思ったよ。」
お酒の名前を貰うには組織からそれなりの信頼を得ないといけないんだろう。ということはきっと降谷さんにとって望まぬこともしてきたはず。
「バーボンを見てきたからわかる。彼には帰る場所が必要だ。」
「…帰る場所?」
「彼は優しすぎる。スコッチがいなくなってからは特に色々背負おうとし過ぎてる。」
赤井さんを見ると、赤井さんもこちらを見ていた。
「俺はどちらかというと守りたいものがある方が、前に進めるタイプの人間だ。」
「…。」
「降谷くんもそうだと思う。」
「…でも。」
『進むためにはこれしか思いつかないんだーー…ごめん。』
そう言われ、私は彼の元を去った。
「まだ気付いてないだけだ。彼にはめぐみが必要だ。」
「…赤井さん。」
「大丈夫。彼も馬鹿じゃない。すぐに気付くさ。」
…だといいのだけれど。
「さ、そろそろ寝ようか。それとも朝まで話すか?」
「…もうちょっと昔の3人のお話聞きたい。」
そう言うと、赤井さんはふっと笑って「了解した。」と言った。