第10章 パーティー
バルコニーに出ると、ひゅっと風がふいて、お酒とダンスで火照った身体にはちょうどよかった。
「そういえば、お名前をうかがっても?僕は沖矢昴といいます。」
「めぐみです。」
「めぐみさん…。素敵な名前だ。」
「昴さんは、何でもそうやって褒めてくださるんですね。」
「あぁ、海外が長かったですからね。慣れませんよね。」
「いえ、恥ずかしくはありますが、やっぱり嬉しいですよ。」
一歩、昴さんが近づいてきた。
「今日、初めて見た時から、貴方に目を奪われてしまった。」
「え?」
真っ正面からどストレートに言われることなんてないから、どう反応していいのかわからない。
バルコニーの柵に手をつき、昴さんの顔から目が反らせなかった。
昴さんの指が私の頬に触れた。
「今日は知人の子守をしていたから、すぐに話しかけられませんでしたが、その子供ももう帰りましたからね、ようやく貴方に近づけた。」
「昴さん…。」
腰に手を回され上を向かされた。
さすがにこんな人が多いところでキスは…されないよね?
両手を昴さんの胸に添え、じっと視線を合わせた。
「2人で開場を出ませんか…?」
近くのホテルにでも…と、耳元で呟かれぞくりとしたが、そこは一線をひかないといけない。ぐっ、昴さんの胸を押して、謝った。
「ごめんなさい。そこまで簡単な女じゃないんですよ?」
「そんなことは思っていませんよ。ただ、今日を逃すとまたいつ会えるかわかりませんからね。」
「それが楽しいじゃないですか。また、探してください。ふふ、シンデレラみたい。」
「それなら、靴をいただくわけにはいきませんから、これを預からせてください。」
昴さんは、私の右耳から赤いイヤリングをとり、それに口付けた。いちいち色っぽい人だ。
「それじゃまた。さようなら、昴さん。」
「えぇ、また。…必ず。」