第111章 笑顔で
裏口からバックヤードに戻り、手を洗っていると安室さんがこちらにやってきた。
「めぐみさん、すみません。キッチンペーパーの在庫なんですが、今使い終わって交換したので後一つになりました。」
「キッチンペーパーなら昨日発注かけました。」
「さすがめぐみさん、仕事が早い。」
「…安室さんほどじゃ。」
私は彼の二の腕を見た。
白いシャツを上から羽織っていてよく見えないが、たしかに包帯のようなものが見える。
「めぐみさん?」
「…っ。あ、すみません。」
「…目が。」
「…?」
しまった。さっきローラさんと会って、涙をぐっと堪えたから目が赤くなっていただろうか。
「…いえ、なんでもありません。」
私に手を伸ばそうとした安室さんはその手を引っ込めると、私から顔を逸らした。
「大丈夫…。大丈夫ですよ、安室さん。私は大丈夫。」
私は必死に笑顔を浮かべ、安室さんにそう言った。