第111章 笑顔で
次の日。
私はポアロの裏口の前に立っていた。
深呼吸を1つ。
昨日あれから、コナンくんと哀ちゃんにはこっちに来た時の詳しい状況を話した。
大した情報ではないけれど、そこから色々調べといてくれるらしい。私は何をすればいいか尋ねたら、黒の組織から隠れながら、これ以上安室さんと仲がこじれないようにしろ、と言われただけだった。
「…安室さんとこれ以上こじれないようにーー…ふぅ。普通に普通に。がんばれ、私。」
ぶつぶつと呟きながら私は裏口を開けた。
今日は朝から安室さんがいる筈だ。
「おはようございます。」
『これで最後だーー…ごめん。めぐみ』
と、言われ、『わかりました。』と答えた私は、服を着て荷物をまとめると、何も言わずに部屋を出た。
あれ以来、初めて顔を合わす。
「あ、おはようございますめぐみさん。」
「…っ」
バックヤードにひょっこりと顔を出して、笑顔で優しい声の安室さん。
「足の怪我はどうです?」
「…あ、大丈夫…です。」
「それは良かった。ちゃんと歩いたり走ったりできるようになるまで、お店立つのは僕に任せてくださいね?」
「ありがとうございます…安室さん。」
いつもの安室さんだ。
さすがプロだなー。何も変わらない。
いつもの明るくニコニコ胡散臭い笑顔の優しい安室さん。
「来週のシフトなんですが、ちょっと調整してもらいたいところがあって…。」
「いいですよ。あとで希望を教えてください。」
「いつもすみません。」
「それをマスターがよしとして、あなたを雇ったんですから構いませんよ。そのかわりちゃんと連絡はしてくださいね。」
初めて会った時と同じような会話。
すべてをリセットしたんだと、自分にも言い聞かせた。