第105章 庇う
バーボンが手から血を出す鬼頭を縛り上げていく。
彼を組織として始末するのか、公安として逮捕するのか私には聞くことができなかった。
降谷さんも答えづらいだろう。
彼の向こうで、うずくまるキャサリンが目に入り私は彼女が心配で駆け寄ろうとした。
しかし、それより先にキャサリンが立ち上がりフラフラとバーボンに後ろから近づいている。
「…っ!?」
彼女の手には注射器が握られている。
キャサリンはそれをバーボンに向かって思いっきり振り上げた。
「バーボンさん!!」
私は裸足のまま走り出し、バーボンとキャサリンの間に入った。
「めぐみっ!?」
肩に刺さる針。
何か薬を打たれたのか、肩がヒヤリと冷たく感じた。
「…邪魔しないでよ!ユメ!この男をやろうのしただけなのに!」
「…キャサリン…ちゃ…」
肩が痛くて、後ろに倒れそうになったところを、バーボンが支えてくれた。
「めぐみっ!あなた…僕を…」
「私はあんたみたいな金に困ってそうな女を鬼頭さんに引き渡す役割だったのよ!!この男さえいなけりゃまた出来るはずなのよ!!それなのに!!」
「はぁ……はぁ…」
「めぐみっ!」
…なんだろう…足に力が入らない。
うまく…立てない…
「何を…!!何を打った!!!」
「…っ!」
あまりのバーボンの迫力に、キャサリンは腰を抜かし座り込んだ。
「…あっ…」
「めぐみっ!!しっかりしろ!!」
「…はぁ……ちか…らが…」
「何で…僕を庇ったり…くそっ!めぐみっ!!」
「バーボン…さん…わた…し…」
「めぐみっ」
「ごめ…んね…たくさん…迷惑…かけ…て…」
目が霞む。全然力が入らない。
ダラリの手を垂らし、全体重を彼に預けた。
「全部許す。もう何も怒ってない。めぐみ…目を閉じるな。」
「…ふふ…許されちゃった…ありがとう…」
笑うための頬にも力が入らなかった。
「めぐみ…っ!」