第100章 赤井さん
着替えもしてないもんだから、キャバドレスのまま私は赤井さんの助手席に座っていた。
赤い外車はエンジン音が低く、なんだか安室さんの車に居るようでドキドキした。
私はむき出しの太ももが恥ずかしくなって自分のシャツをカバンから取り出し自分の膝にかけた。
「あの…ありがとうございました。」
「そろそろ困る頃だろうと思ってな。」
「…どうして?」
「キャメルに会っただろう。」
キャメルさん。あっ、そうだ。FBIの。
先日たしかに喫茶店に来てくださった。
「でも、端で座ってコーヒー飲んでただけで、お話は特にしてませんよ?」
話を聞いていた、という雰囲気もなかった。
「キャメルの耳の良さは俺より上だ。…めぐみが何か危ないことに手を出しそうだと、俺に報告してきた。」
「…キャメルさんが。」
私を心配して赤井さんに言ってくれてたんだ。
「君の動向を気にしていたら、キャバクラで働き出すし、そこにあの組織が出入りしているしで、驚いたよ。」
「組織は…本当に私も知らなくて…」
「だろうな、今日はバーボンが来ていただろう。」
「…死ぬかと思いました。」
「ふっ、バーボンも同じ思いだろう。…むしろ降谷くんに同情するよ。気にしてる女が自分の潜入先の組織とそんな格好で会っていたところに遭遇するんだからな。」
「…。」
「バーボンから逃げてきたんだろう?」
「…はい。」
「だろうな。彼のことだ、どうやっても君を巻き込ませまいと閉じ込めるだろうな。それだけ得体の知れない恐ろしい存在だ。あの組織は。」
私は自分のやってしまったことに段々と申し訳なさと後悔と恐ろしさが増してきて、車の中で縮こまるように俯いた。
「降谷さんはずっとそこに潜入…してるんですよね。」
「俺に知る限り少なくとも5年は。」
5年…。
あんな神経を擦り減らすような場所に…5年も。
しかも、赤井さんが潜入するより前からいるならもっと前からかも知れない…
「どうしよう…赤井さん。私とんでもないことしちゃったかも知れない。」