第97章 ケビン
「ユメ、お前、怖がらない。」
「…?ふふ、そうですね。もう怖くないかな。」
同じお酒でいいか聞き、私はウイスキーのコップに注いでいく。
こちらを見ていたので、飲みたいのだろうと手渡した。
その時に指先が触れ合い、ケビンさんはそのまま私の手を取った。
「…ごめんなさい。お店ではダメなの。」
「…悪い。ユメの目。見てたら触りたくなった。」
ケビンさんはそれ以上触れようとはせず、素直に手を離してくれた。
本当に彼の言う通りつい手が出てしまったようだった。
「目を褒められると嬉しい。ありがとうケビンさん。ケビンさんの目もすごく優しそう。」
「…初めて言われた。」
こうやって少しずつ信頼を得て、何か彼から情報は得られないだろうか。まださすがに聞くことはできないけれど。
彼の雰囲気からして、やはり裏の社会の人間だとおもう。
仲良くなれば、きっと何かあると信じて。
「ユメさん、次お願いします。」
黒服のボーイの方にカーテンの向こうから呼ばれ私は返事をした。
「ユメ、怖がらない。また呼ぶ。」
「本当ですか、それはすごく嬉しい。はじめての指名だ。ケビンさんそれじゃあまたね。」
わかりやすくゆっくりな日本語で最後挨拶をすると、私はVIP席を後にした。