第2章 私の仕事
「昨日話してたバイトの人が来たので、説明お願いするね。」
マスターに言われて、私は奥の角にあるパソコンから顔を上げた。
マスターの後ろには、男性が一人立っていた。
「新しく入った、安室透さんね」
「よろしくお願いします」
好青年よろしくニッコリと笑う彼は、実は二十九歳。
昨日履歴書で確認済みだ。
そうは見えないイケメンさんだ。
「ここの裏で雑用をしている、夏目です。よろしくお願いします。」
じゃあ、あとよろしくねっていうと、マスターは店舗に戻っていった。
「じゃあ、まず書類の説明しますね。どうぞ座ってください。」
ここポアロという喫茶店には店舗の奥にもキッチンがあり、簡易のソファとテーブル、小さい冷蔵庫とロッカー、そして一台のパソコンが備え付けられている。
わたしは大抵そこにいる。
「お給料は毎月月末振込になります。 今日認印はおもちですか?」
「はい。」
ごそごそとポケットをあさる安室さん。
「では、この振込依頼書に記入してください」
何枚か書類を書いてもらって、次にエプロンを渡した。
「エプロンは二枚、ご自身で洗濯をお願いします。ロッカーは一番左を使ってください。
シフト制ですので、毎週月曜日にわたしに希望日を教えてください。」
「はい。あ、そのことですが、副業の兼ね合いで急に休むことがあるかもしれないのですが…」
申し訳なさそうに言う安室さん。
「大丈夫です。そのことも昨日マスターから聞いてます。マスターが面接時にそれで大丈夫と採用したので、気にしないでください。
だだ、連絡なし。というのは少し困りますので、事前に必ず店舗か私に電話を入れてくださいね。仕事用の携帯を一台私が持っているので、あとで登録してください。私も安室さんの番号を登録しておきます。」
「とても助かります、ありがとうございます。」
「じゃあ、今日は以上です。明日から入るんですよね?」
「はい、そうです。」
「では、そのイケメンを振りまいてお客様、たくさん引きつけてきてくださいね」
「えっ?」
安室さんは目をパチクリとさせて、私をみてきた。