第82章 彼の仕事【一章】
降谷さんは私の肩に額を預けたまま動かない。
「コータさんは…先日私に、『目標は降谷さんだ』って…『降谷さんみたいな公安になる』って……言ってたの。」
「…っ。」
膝に置いていた私の手の甲にポタリと水滴が落ちてきた。
「予測できなかった、僕の責任だーー…部下を五人もっ。…っ。」
私は降谷さんの顔を見ないよう、肩にあった頭を力一杯抱きしめた。
彼らには彼らの家族があり、恋人や友人、それぞれの物語があったに違いない。
降谷さんはそれを一人で背負って…
【あの人不器用じゃん?ひとりで全部背負い込むし。】
【降谷さんを支えてやって欲しい】
私はコータさんの言葉を頭に思い出しながら、止まらない涙をそのままにさらに強く力を込めて抱きしめた。