第79章 花火
お店のカウンターに腰を押し付けられて、右手首をギュッっ掴まれた。
安室さんの右手は帯の下辺りに回ってきて、首に顔を埋めている。
「っ…安室さん。」
「拗ねてるめぐみ…可愛すぎた。口をむっと尖らせて、絶対僕の目を見ようとしないくせに、僕が他のお客さんと話してる穴が開くほど見てくるんだ。」
「う、うそだっ…!」
そんなことしてるつもりなかった!
「んーーーっ。」
私の首や頬にすりすりとしてくる安室さん。
「く、くすぐったいよ。」
犬みたいだ。
「やばい。どんどんハマる。」
「?」
「そうやって僕を翻弄させる。」
「そんなつもりないよ…」
「浴衣も、すごく可愛い…。お店入った瞬間、直視できなかった。」
「…そうなの?」
私に見向きもせずさっさと仕事にいったから、興味ないのかと思ってた。
「じっと見てたら手を出してしまいそうだから、なるべく見ないようにしてた。月下美人もよく似合ってる。」
「…ありがとう。」
安室さんはすこし私から距離を置いて、わたしの浴衣を上から下
に視線を向けた。
「私もこの色すごく気に入ってるの。」
「そうなのか?」
「うん……だって…安室さんの瞳と同じ色なんだもん。」
私の腰に回っていた安室さんの手に力が入った。
首のうなじに手が回り、ぐっと引き寄せられた。
「ひゃっ……んんっ」
「…めぐみが悪い。僕を煽るめぐみが…」
「そっ……っふ」
そんなことって言おうと思ったけど、安室さんの口に塞がれてそれは叶わなかった。
荒っぽいキス。
「んん…っ…」
「…今日は化粧してるからまた僕の口に口紅がつくな。風見に怒られる。」
「えっ!?言われたことあるの!?」
「一度な。」
ふふっと笑って言うけど、それってすごく恥ずかしくないだろうか。
話をしながら安室さんの手が緩んだ隙に、すすっと横を通って逃れようとしたが、後ろからがっちり腰に手が回り捕まってしまった。
「どこに行こうとしてる。」
「いや、あの…片付けようかなーって。」
「あんなに煽っておいて?」
「煽ってないから!」
「僕はしっかりムラッときた。」
「なっ!何言って!!」
「めぐみ」
後ろからうなじにキスをされ、ゾクっとしてしまった。
「っ…」
「綺麗だ…」