第77章 お客様感謝デー
どちらのかもわからない水音が狭い車内に響く。
歯茎や舌横を舐め上げ、絡めるように口の中で暴れる安室さん。
酸素が足りなくてふわふわする。
「ん…も…くるし……」
「ん?…あぁ、わるい。夢中になってた。」
一つ一つの言葉にドキドキする。
最後、啄むようにちゅっとキスをすると、安室さんはゆっくり自分の席に戻って行った。
「浴衣…楽しみだな。」
「仕事だよ…」
「わかってるけど、僕が選んだ浴衣を着てくれるの楽しみだな。……メガネ外してきてくれ。」
「えっ?」
倒されていた座席を元に戻しながら、私は安室さんを見た。
こちらをじっと見ながら「絶対メガネだめ。いいな?」と、念を押すように強く言った。