第70章 お好み
イカされることなくシャワーを出て、蒸気と暑さでボーッとする中、タオルで身体を拭かれた。
「水持ってくる。拭いてて。」
顔が熱いーー…
足に力が入らなくて、言われるがままタオルで髪の毛をぎゅっと拭いた。
「ほら、飲んで。」
ペットボトルのキャップを外した状態で水を渡されて、口に含むと体に染み渡って美味しかった。
「おいし…。」
「じゃあ、これ着てて。買っといたから。」
そうか、安室さんがネットで買ったって言ってたっけか。
下着を買うとか恥ずかしかったんじゃないだろうかーー…
ありがたい。
■□■□■□■
「ありがとうって思った私が馬鹿だった!!なにこれ!」
「え?下着。」
「ばっかじゃない!?」
「可愛い。」
黒いブラジャーに黒いショーツしかし左右を紐で結ぶタイプのやつ。上はほぼ透けてるキャミ。
これだけお腹もおへそも全部見えるくらいのシースルーって着てる意味ある?需要どこにあるんだ?ってよくショッピングモールで見てて突っ込んでたやつだ。
「なんで…私が着ることに…!」
「それでもちゃんと着てくれるところ、めぐみらしい。…おいで。」
「や、やだ…!恥ずかしい…」
キッチンと寝室の間でもじもじしていると、ふふっと笑う安室さんが立ち上がって私の元にきた。
「可愛い。」
「こんな可愛い服着るなら化粧すればよかった…」
「いいよ。でも、髪の毛乾かしてあげる。おいで。」
手を引かれベッドの端に座らされると、安室さんはドライヤーを持ってきて私の髪の毛に当て始めた。
「めぐみ…巻き込んでごめん。」
安室さんはドライヤーをかけながらぽつりとつぶやいた。
「風見さんにね、安室さんが私を使わないように上に何度も掛け合ったって聞いたの。」
「…あいつ。」
「私を守ろうとしてくれてありがとう。結果さ、ぜんぶ上手くいったからもういいじゃない。」
この格好のままだと恥ずかしいから、安室さんの枕を膝に置いている。
その枕に手に置いたまま後ろを見ると、すごく優しい笑顔で私の髪の毛を撫でてくれたので、私も微笑み返した。
「公安の降谷様はいつもあんなことして日本守ってるんですね。」
「日常茶飯事ってわけじゃないがな。」
「お勤めご苦労様です」