第67章 いざ
「ありがとう。めぐみ。覚悟を決めたよ。やるからには絶対に成功させる。」
「うん。」
「第一目的はボスの確保だ。そして来ている手下全てを制圧。」
「うん。」
「そのために君を利用させてもらう。」
「うん。」
「総長となって、倉庫で彼と会ってもらう。出来れば何人引き連れてきたのか聞き出してもらいたい。」
「うん。」
「今回は前回と違って武器を所持している可能性が高い。ボスとの電話の印象で、かなりプライドが高い男だろうと思われる。あまり神経を逆撫でするようなことは言わない方がいいだろう。」
「わかった。」
風見さんの運転するバンの中で私は降谷さんの言葉を何度も繰り返した。
「僕は君の横にずっとついていく。めぐみとボスとの会話の途中で手下たちがいるか把握して風見たち他の捜査員に包囲させる。
合図と同時に一斉確保だ。…といっても、めぐみはただボスと話をしてくれたらいい。僕がなにか指示したら必ず第一優先で聞くように。」
「はい。」
「…大丈夫か?」
「わかんない…けど、不思議とそんなに緊張してないの。おまじないのおかげかな。」
へらりと笑うと、降谷さんは手を伸ばしぎゅっと抱きしめてきた。
バックミラーにうつる風見さんと目があって、私は慌てて降谷さんの胸を押したがびくともしなかった。
「ふ、降谷さん…!車だから!」
「あんなおまじない、いくらでもしてやる。これが終わったらご褒美だっていくらでも…。」
「あ、ありがとう…」
私は昨日ご褒美と称して自分からキスをねだったのを思い出して顔が赤くなった。
私は風見さんに聞こえないよう、抱きしめられてる降谷さんの耳元ですごく小さな声で話しかけた。
「…じゃあ、終わったらご褒美…ください……」
すると、降谷さんは息ができないくらいぎゅーーーっと抱きしめたい。
…苦しい。
「いいのか…?フラグ立てて。」
「あっ!!だめ!!取り消し!」
降谷さんから慌てて離れると、腕をぶんぶんと振った。
「いらない!ご褒美いらない!」
「いらないのか?」
「…い…………る。」
「ふはっ。どっちだよ。」
降谷さんは黒いキャップを被り、手を口元に持っていき笑った。
「めぐみはどんな時でも笑わせてくれるな。……さ。じゃあ、行きましょうか。めぐみさん。」
「はい。…安室さん。」