第65章 日常と非日常
昨日の夜、あまりに疲れたのと、コータさんからの言葉がショックだったようで帰宅後死んだように眠ってしまった。
目覚ましで目が覚めて急いで準備する。
朝からポアロに行かなくては。
あまりに非日常だったけれど、ちゃんと仕事はしないと…。
すごいな…安室さんは日々これを淡々とこなしてるのか。
少し億劫な気分でポアロに向かった。
開店準備をして、モーニングの下準備。
毎日のようにしていたこの仕事が、昨日のことがあって、なんだかとても久しぶりなような気がした。
8時も過ぎると梓さんが来て、私はバックヤードに下がった。
在庫管理に発注に、メニュー表の改良に、業者とのやり取り、そしてみんなのシフトとお給料の管理。
「ねーねーめぐみちゃん。」
にこにこ笑いながらバックヤードを覗いてきた梓さん。
「だめ!安室さんとのことは全部安室さんに聞いてください!私はないも言わないからねっ!」
「もー!私が今から聞こうと思ったのにー!」
顔見たら何言おうとしたのかなんて私でもわかった。
「わたしはこういうの恥ずかしくって言えないタイプなの!」
「ちぇーっ!ねね、じゃあさ…ちょっと私のこと相談なんだけどー…」
「うん。なーに?」
「新しい彼氏がさ」
…いつ出来てたっけ?
新しい彼か?
私の知らないニューフェイスか?
梓さんは別に悪女でも何でもない。
とてもいい子だし、そんな男を取っ替え引っ替えするタイプでもない。
ただ…男運がわるい。とことん。
いい人だと思ってみても、付き合ったら実は他に彼女がいたんだとか、マザコンを隠していたとか。
梓さんに合ういい人さえいれば、きっと長続きするいいカップルになると思うんだけどなー。
「その彼がね…。…はやくてね。」
「ん?」
「だから、早いのよ。」
「…ん?何が?」
「イクのが。」
「ちょっ、何を言ってるの!?」
「だってー!こんなこと相談できるのめぐみちゃんしかいないんだもーん!!お願いきいて!」
「…う、うん。は、早いのね。」
パソコンの前に座って、梓さんの方に向き直り、私は思った。
あれ?私の日常ってこんなのだったっけ…?