第64章 気づいた時にはもう遅い
もう終電もないし、タローとジローに送って貰えばよかったと後悔した。
安室さんは忙しそうだし、もちろん風見さんも。
こそって出て行ってタクシーで帰ろうかと考えていたら、現場から帰ってきた髙橋さんがちょうど会議室に入ってきた。
「おっと…すみません。かえるんすか?」
「あ、はい。」
「じゃあ、送りますよ。」
「タクシーでも呼ぼうかと思ってて。」
「こんな時間掴まんないですよ。降谷さんに怒られます。いま、忙しいんでしょう。」
「あー、なんか令状がどうのこうのって…。」
「警視庁と警察庁でやり方違うからなー。ほら、行きましょう。」
「…じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます。」
さっと私の着替えとかの荷物を持ってくれて先に進んでいく髙橋さん。
こうしてみると彼もハンサムな方だと思う。
背は高いし、サラッとした黒髪。キリッとした目。
たまにお調子者っぽい話し方をすることもあるが、この若さで公安にいるくらいだ、すごく優秀な人なのだろう。
「乗って。」
黒いSUVの車だ。
「ありがとうございます。」
「めぐみさんって……、あ。降谷さんに釣られて名前で読んじゃってますけど、同い年くらいですよね。すみません。」
「いえ、全然。気にしないです。」
ゆっくり動き出した車。
行き先を伝えるとそちらに向かって走り出した。
「じゃあ、めぐみさんで。めぐみさんって降谷さんと付き合ってるんすよね?」
「…踏み込んで聞いてくるんですね。付き合ってはないと思ってます。」
「…セフレ?」
「最低。嫌いになりますよ。…そんなんじゃない。」
「ふーん。まぁ、降谷さん色々ありますもんね。」
「そうだね。色々あるの。」
私たちの関係に明確な言葉はない。
友達?恋人?…なんだかどれもしっくりこない。
でも言葉にできない何かはきっとあるんだと、思ってる。