第61章 潜入準備
もういいぞっと風見さんに言われ、私は学ランを脱いだ。
とたん、力が抜け『総長』の仮面を取ったかのようにだらっとした。
「そんなっ、納得できません。風見さんっ!私はやってみせます!やらせてください!」
一人目の前田さんが前に出て、風見さんに詰め寄った。
「リーダーは重要だと、さっき説明しただろう。もう決まった。」
「…っ!しかし今回はゼロが動いていると聞きました!今も何処かで見てるんでしょう!?私は…っ!」
ゼロ…?っとタロー達がざわざわとしていると、安室さんが立ち上がった。
「僕たちは決まったと言っただけです。ここにいる全員、誰に決まったと明言していません。もちろん貴方も。でも、貴方は自分ではないとわかったのは何故です?貴方は誰に決まったと考えたんです?」
「…っ!?」
「それが答えでしょう。リーダーはめぐみさんです。」
私はどうしたら良いかわからなくて、黙って椅子に腰掛けた。
…気まずい。
風見さんはポンと前田さんの肩を叩いた。
「ここだけが仕事じゃない。君には他にも活躍してもらう場は必ずある。……それにゼロに関しては極秘事項だ。こう言うところでもあまり口にしないほうがいい。」
「…すみませんでした。」
しゅんとして、前田さんと後田さんは会議室から出て行った。
今隣の会議室にいくと着替えているだろうから、私はもう少ししてから行こうと思った。
「さて、めぐみさん。」
「はいっ!」
「あれ?今はもう総長じゃないんですか?」
「あー、その場の雰囲気と服装じゃないとなれません…普通の私に戻っちゃう…」
「そうですか。潜入向きかもしれませんね。しかし、まだまだですから、貴方には潜入のノウハウを叩き込まないといけません。」
「わかりました。」
「今夜から寝かせませんからね。」
「…いやっ言い方!」
「べつに彼氏なんですからいいでしょう。」
「…か、彼氏っ」
そうだ、そう言う設定だった!
それを頭に叩き込んでおかないとボロが出そうだ!
『私は安室透の恋人。私は安室透の恋人。私は安室透の恋人。』
私は何度も頭の中で念仏のように唱えた。