第55章 閑話 風見裕也の独り言
「ダサい女」と、降谷さんは言った。
よほど悪い容疑者でもない限り、あまり女性を悪く言うような人ではないと思っていたのだが。
電話で相手と話す時の降谷さんの様子はあまり見たことない雰囲気だった。
怒った様子にも関わらず…何というか、とても気の知れた友人か家族、それか長年連れ添った恋人と話をしているかのような…。
「…怒ってない。」
という時のなんとも言えない表情。不貞腐れたような……男の自分が言うのもアレだが、少しだけ可愛らしいとさえ思ってしまった。
…絶対本人には言えないのだが。
東京のリーダーは写真で見る限り迫力のあるカッコいい女性だ。
…美しいと思ったほど。
黒髪をなびかせ、腕を組み前を見据えている。
1000人以上の巨大グループをまとめているだけある。
今からくる『ダサい女』と知り合いなのだろうか。
さすが降谷さん。顔が広い。
「夏目めぐみさんですか?」
「はい。」
降谷さんの言った通りだった。
どこで売ってるんだと聞きたくなるような眼鏡に、適当に結ばれた髪の毛。
服も…まぁ、事務でもしてるんだろうな。というようなありきたりの格好だった。
この子がどこで降谷さんと知り合うのだろうか。
ここに呼ぶ。ということは公安だとしっているのだろう。
部屋に連れていくと、降谷さんは早速彼女に先程のデータを見せていた。
自分達は邪魔をせぬよう近くにたって様子をうかがっていた。
高橋と顔を見合わせる。
「彼女、何者なんすかね。」
「わからん。」
こそっと小さな声で高橋が話しかけてきた。
「降谷さん…なんかいつもと雰囲気違いません?」
「…そうだな。」
「これはめぐみだろう?」
降谷さんがそう言い、高橋と目を合わせた。
なんだと…?
写真の美しいリーダーがこの目の前の夏目めぐみだと?