第53章 あの時の私
安室さんから今すぐ警視庁に来い。という電話を受け取る1週間の出来事だーー…。
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「めぐみさん頼みたいことがあるんです!!」
「え!?えぇー?」
バタバタと入ってきたのは男性二人。
最初強盗が入ってきたのかと思うくらいおどろいた。
その男性二人は私の前で膝をつき、いわゆる土下座を始めた。
「めぐみさん!!いや、姐さん!!」
「あ、あね!?」
「俺たちのリーダーになって欲しいんす!!!」
ごっ!と頭を床に押しつけて叫ぶが、もうなんのこっちゃわからない。
私は彼らと視線を合わせるようにしゃがみ、肩に手を置いた。
「とりあえず落ち着いて。話を聞かせてください。椅子座って?」
「は…はい。」
お店の看板をクローズドにひっくり返し、そとの看板を店内に入れた。
とりあえずこれでゆっくり話ができるだろう。
残ったアイスコーヒーが少しだけあるから、小さいコップに二つに分けて二人の前にテーブルに置いた。
「どうぞ、座って。」
「すみません、姐さん。」
「…その姐さんってどういうことですか?」
「俺たちのこと覚えてますか?」
「えと…以前追い出したバンドマンでしたっけ?」
「そうです!あの時はすいやせんした…!」
「いやいいんだけど…」
以前園子さん達といざこざを起こして、私の思い出のカップを割って店から追い出したバンドマンのうちの二人だ。
「今俺たちのグループの存続の危機でして…」
「グループ?」
「はいっ!俺たちこの辺り杯戸町や米花のあたりを拠点に牛耳ってる暴走族っ『金色(こんじき)の夜明け』!!」
「あ、うん。で?」
「それが…今ちょっと事情があってリーダーが出てこれないんす。でも、今度大事な会合があるんすよ!そこで、代理でめぐみさんにリーダーをしてもらいたいんです!!」
ごっ!とふたたび頭を今度はテーブルに叩きつけた。
「え?いや。絶対いや。」
「ええーーー!もう姐さんに頼むしかないんすよ!!じゃないと俺たちのグループなくなっちまう…」
「知らん。私はもうそういうのしないの。若い者で解決しなさい。」
ぴしゃりと言い切り、私は彼らを帰そうとポアロのドアを開けた。