第43章 嫉妬
ウェイターさんにチョコ味のカクテルをお願いしたら、チラリと安室さんがこちらを心配そうに見てきた。
「赤井の時は記憶を無くしたんじゃないのか。」
「…あれは、私が日本酒を飲んじゃったからで。日本酒だけは苦手なんです。たった一口でベロンベロンです。」
「飲むなよ…赤井なんかのまえで。」
テーブルの上でカクテルに添えていたわたしの手の子指あたり指を絡ませてきた。
急に緊張が走って背筋に力が入った。
「いっ、1回目はスパークリングの日本酒なんて知らなくて飲んじゃって!2回目は…チョコの中に入ってて…気付かず…わざとじゃないもん…言い訳みたいだけど…」
「僕に責める資格なんて…ないな。」
ポツリと呟くと安室さんは立ち上がった。
どうやらお店をもう出るようだ。
私は残りの二口ほどをこくりと飲み干し、後を追いかけた。
さっさとお会計を終わらせてくれて、エレベーターの下ボタンを押した。
「ご馳走様でした…ありがとう。」
「いや…本当はもっとゆっくり飲みたかったんだが…」
何かをいいかけながら、安室さんは私をチラリと見た。
お仕事があるんだろうか?
「忙しいの?」
「いや?」
開いたエレベーターに乗り込み、数階下のボタンを押した。
「部屋をとってる。」
「えっ。……ちょっ、んんっ」
トンっと肩を押され、エレベーター内の鏡に押しつけらた。
上を向かされキスをされると、スリットの入った太もものあたりを撫でられた。
数階下ということもあり、すぐにエレベーターのドアが開き、安室さんに手を引かれ廊下に出た。
ぐいぐいと引っ張られていく。
長い廊下をヒールで少し駆け足のように安室さんを追いかけた。