第43章 嫉妬
私たちはホテルの高層階のバーに来ていた。
ちょうど私のシックなドレスが合っていた。
安室さんも元々綺麗めな格好をしていたので、上のジャケットを変えるだけでドレスコードには引っ掛からなかった。
「こういうところは初めてです。緊張しちゃう。」
「めぐみとならもっとカジュアルでもよかったんだがな。せっかくのドレスだ。」
お店を入るときに、そっと背中に手を添えて来るあたり手慣れてるっ。
ワンショルダーで結構後ろまで開いてるから手が触れそうで恥ずかしい。
「見立て…赤井から贈られたドレスなのか?」
「いえ、赤井さんは何も用意してないですよ。あの人の嘘です。アクセサリーもある女性から借りたものです。」
「…そうか。あいつ。」
悔しそうに顔を顰める安室さん。
ウェイターさんに案内されたのは窓の外を一望できる、カウンターだった。
隣同士すわって、私は適当にあまいカクテルを頼んだ。
夜景がすごく綺麗だった。
「…赤井さんとはお知り合いなんですね。」
「あぁ。ちょっとな。」
ん。そこは踏み込んではいけないラインなんですね。
「赤井から何か聞いたのか…」
「FBIってことくらいしか…」
「僕のことも?」
「あー…『ただの探偵だと思ってるのか?』と言われました。」
「そうか。」
「安室さんが毛利小五郎さんとはまた違うタイプの探偵さんってことくらい、もう随分前からわかってますよ。」
「…。」
「怪我も多いし、あっちこっち色んなところに足を運んでるし、特殊なすごい名探偵…ですよね。」
赤井さんとの関係が言えないのであれば、やっぱりまだ安室さんのもう一つのお仕事のことは私には秘密なのだろう。
なら私は知らないふりを続けようーー…。