第39章 その時降谷さんは(風見さん視点)
7人組の組織の幹部たちが出頭した。
本当に最後の悪あがきだったらしく、大人しく全てを話した。
仲間だと思っていた潜入捜査員の高橋に裏切られたことが苦しかったのだと。
全ての調書が終わり、降谷さんが若い男に話しかけた。
「君が4人目の女性を拘束したんだね?」
「あぁ。」
「彼女だけ保護できていない。どこか知っているか?」
「…いや。拘束を外して、最後はちゃんと謝罪して別れた。その後は俺はここに来たから知らない。」
「…そうか。なぜ彼女だけボイスチェンジャーを使った。」
「彼女がそう希望した。彼女は生きたいからって協力してくれた。公安すらしらないような女だった。より泣き声に聞こえるよう声を変えたいって。泣くまねをしたり声を振るわせたり、いい演技をしてくれたよ。」
「名前は?」
「知らない。聞いてもないしこちらも教えてもない。」
「…。」
犯人が乱暴にしなかったから、その女性も心を許したか。
公安も知らないような女性だ。
全てが終わったら、特に気にすることなく帰宅したーー…ということだろうか。
降谷さんは黙って考え込んでいた。
名前をその女性には知られてしまっている。
どこかで、誘拐されたことやゼロの存在を話されたら困る。いや困るどころじゃない。
「まぁ、2日しかいなかったし、話したのは最終日の数時間だけだが、生きたいから協力もするし全てを秘密にすると言ったからたぶんあんたのことも話さないと思うぜ。」
「悪いが信用できない。」
「別に信用してもらおうなんて思ってないさ。ただ、なんとなくあの女は信用できるって俺は思ったよ。」
部屋を出て廊下を降谷さんと歩く。
「どうしますか降谷さん。」
「どうすることもできない。拘束されていた場所をもう一度調べさせろ。それとSNSや掲示板などで、ゼロのことを書かれてないか目を見張らせろ。」
「はい、わかりました。」
「僕はシフトが入ってるからそちらに行く。後は頼んだぞ、風見。」
「はい。」
シフト…ということは、安室透になってポアロにいくんだろう。
明け方近くまでこうやって仕事をしているのにも関わらず。
本当超人だよ。降谷さん。