第39章 その時降谷さんは(風見さん視点)
「降谷さん…二人目のご老人からの電話が切れました。」
爆発音と共に通話が切れた。
拘束した時の犯人の特徴を自分たちに伝えようとした瞬間だった。
小さな捜査室に降谷さん含め5人だけ。
そのうちの一人は先日までアジア系のテロ組織に潜入していた。
彼らのリーダーを逮捕。組織はすぐに壊滅するであろうと誰もが思っていた。
『やつらの最後の悪あがき。』
降谷さんはそう言った。
「すみません、降谷さん。俺のせいで…」
テロ組織に潜入していた捜査員、高橋が言った。
「いや、指示をしたのは僕だ。それにあいつらの狙いもゼロだ。簡単な要求をのむだけで人質は解放されるんだ。僕の考えではおそらく人質は4人。多くて5人。それ以降は大人しく出頭するであろうと思っている。」
「…自ら捕まりにきますか?」
「言っただろう。最後の悪あがきだと。」
なぜその考えに至ったのか自分にはわからない。
犯人の考えが、降谷さんには手に取るようにわかるんだろう。
淡々と交渉はすすみ、降谷さんの読み通り人質は4人で終わり、犯人は自らこちらに会いにくるとなった。
…さすが降谷さんだ。
しかし、容姿も名前も犯人に教えてしまったのはやはりこちらの負けであろう。
「もしもしっ!もしもし!!」
全てが終わったと耳につけていたイヤホンを外したが、降谷さんは少し焦ったようにしている。
「…電話を切った。なぜだ。」
「降谷さん?」
「4人目の人質の女性が、場所を言う前に電話を切ってしまった。逆探知できたか?」
「はい。できてます。すぐに救出のために捜査員を向かわせます。」
「…恐怖のあまり切ったのか。あの女性だけは僕の名前と声を聴かれてる。急いで向かわせろ。」
「はいっ!」
降谷さんはずっと何やら考え込んでいる。
「彼女だけ、ボイスチェンジャーを使っていた。」
「え?…自分も聞いてましたが使ってましたか?」
恐怖で震えていたり、泣き声もたまに聞こえていたが、変えているようには思えなかった。
「拘束は人質につき一人犯人がいたはずだ。彼女を拘束したのは誰か、話をしたい。」
「わかりました。」