第35章 とある日の降谷さん(風見さん視点)
赤井秀一が生きていると推理した降谷さんが後一歩というところで、取り逃した時…。
あの日の夜は、誰も触れられないくらい荒れていた。
「くそっ!!」
工藤新一の屋敷の前で壁を殴る降谷さんに声をかけていいのかわからなかった。
…降谷さんの推理は完璧だった筈だ。
赤井秀一、恐ろしい男だ。
何人もの捜査員を使い、車を何台もダメにしてしまった責任を降谷さんは負わされ、三日間の謹慎処分が下されていた。
まぁ、潜入捜査中ということもありたいして以前と行動変わっていなかったのだが。
謹慎明けに、一度本庁に来るということで何人かの捜査員と自分で降谷さんを迎えることになった。
赤井のことがあったし、さぞかし荒れているだろうと覚悟した。
しかし、それは杞憂に終わった。
「なぁ、風見。」
「はい、なんでしょう降谷さん。」
「『おとといきやがれ』なんてセリフ言ったことあるか?」
そういう降谷さんの表情の何と穏やかなことか。
隣にいた他の捜査員と顔を合わせた。
ここにいるみんな同じことを思っただろう。
ーーあの降谷さんが優しく微笑んでる…。安室透でもなく、あの降谷さんが。
「いえ、自分はありません。アニメかどこかのヤンキー漫画くらいでしょうか。」
「…ヤンキー漫画…ぷっ」
吹いたっ!
降谷さんが!
「…あの、降谷さん?」
「あぁ、すまない。例のテロリストのリーダーの件どうなった。」
「はいそれでしたら……」
いつもの降谷さんだ。
赤井の一件があろうと、いつもの降谷さんに戻っている。
流石だ。自分の尊敬する上司、降谷零。