第28章 本屋
あの夜赤井さんの色気にのまれそうになって、あわてて家を飛び出した。
大人の色気って本当にあるんだな……。恐ろしい。
タクシーを呼んで、工藤家の玄関で待たせてもらっていたら、ほぼ無理やり以前借りたミステリー小説の後編を渡された。
楽しかったから自分で買うと断ると、
「めぐみ、君にまた会う口実が欲しいのだ。」
と耳元で言われ、本をカバンに押し込まれた。
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次の日、私は本屋に来ていた。
ミステリー小説、手を出したことがなかったが、読んでみて意外と面白かったから休みの日の暇つぶしにしようかと思ったからだ。
「やっぱり、工藤優作さんかな。」
この世界に来たからには彼の小説はやっぱり王道かな。
わたしには難しいかな…。
本棚の工藤優作の棚を見ていると意外とたくさんあって、何から読めばいいのかわからない。
コナンくんに聞けばよかっただろうか。
初心者向けとかあるかなー…
新作もあるようだった。
『緋色の捜査官』
本屋の店員さんのコメントもついてて、面白そうだ…。
その一冊を手にとり、今度は雑誌コーナーに向かった。
一冊手にとりパラパラと眺める。
「ほぉー、バイク雑誌。さすが総長。」
バン!バサバサ!!!
雑誌を勢いよく閉じ、棚に戻すと後ろを振り返った。
そこにはにんまり笑う安室さん。
本当にこの男は神出鬼没である。
本屋ということもあり、大声を出さぬよう、安室さんを睨みつけた。
「なんでっ、こんなところにっ!」
「昼からポアロなんですが、来店前に買い出しも頼まれましてね。少し早めに家を出たんですよ。本屋にはレシピ本を。」
バイク雑誌を向かい側にはたしかにレシピ本。
「よかったらお昼一緒に食べません?今日お休みでしょう?」