第25章 猫ちゃん
夕方。
お客さんも疎らになってきた頃、バックヤードに梓さんが顔を出した。
「めぐみちゃん!大尉きたよっ。ミルクあげるけどくるー?」「いくいく!」
何てったって、こっちの世界に飛んできてしまった原因も猫だ。
猫を追いかけていったら、事件に巻き込まれた。
そのくらい猫は好きなのだ。
お店の外に一緒に出ると、三毛猫がしゃがみミルクを飲んでいた。
「か、可愛い…。」
「可愛いでしょー!首輪はしてるから誰かに飼われてはいるみたいなんだけど…。」
ミルクをぺろぺろしている大尉ちゃん横にしゃがみ、お尻の辺りを爪でかりかりと撫でた。
ペロリと口の周りを舐めると、前脚を私の膝に乗せ、鼻をヒクヒクさせながら私の顔に近づいた。
「やーん、可愛いっ。」
顎の下をゴロゴロと撫でてやる。
猫ちゃんはやはり正義だ。
「これは確かに取材したくなるねー」
「だよね!またお客さん増えちゃうね!」
のんびり仕事したいのが本音だが、繁盛するに越したことはない。
カシャ
「ん?」
何か音が聞こえた。スマホのシャッター音のようだが、どこから聞こえてきたかまでは分からない。
それに、どこを撮ったのかも。
さすがに私を撮ったりはしないだろうが、近くに人が見えないのは少し不気味だった。
最後、大尉ちゃんの頭をひと撫でして、私は店内に戻った。
■□■□■
取材当日。
晴れでもあり、大尉は毎日たいてい決まった時間に来るということで、水曜日に行うことに決まった。
取材自体はあっさりと終わった。
外で大尉を抱き上げた梓さんの写真を数枚と話を数十分聞いて終了した。もちろん私はバックヤードで隠れて気配を消した。
せっかく前日仕事が終わった後店内を大掃除したし、がんばってカーテンをつけたし、観葉植物をどこに置くかあれだけの時間悩んだというのに、取り越し苦労だ。
いや、カーテンは外からも見えるからきっと意味があったっ!…と思いたい。
後で、無事取材が終わったことをマスターと安室さんに報告して終わりだ。