第24章 秘密
まだ乾いていない髪の毛のために首にかけたタオルで、髪の毛をきゅっと拭きつつ、私は大きなベッドの端に腰掛けた。
「…すこしだけ…ですよ?」
安室さんは一度目をまんまるとさせた後、にっこりと笑みを浮かべベッドにゴロンと横になった。
頭は私の膝の上。
「なんでもう一度同じ服なんだ?」
「え?持ってきてないもん。」
「バスローブがもう1着あったろう?」
「ば、バスローブなんて恥ずかしくて着れない!」
「僕は着てるんだが…恥ずかしいのか?」
「安室さんは似合うからいいと思います。それに足怪我してるし。」
横向きで寝転ぶ安室さんの髪の毛をさらさらと触れる。
今回は前と違って目が合わないからまだ少し恥ずかしくない。
「……めぐみさんには見られたくなかった。」
少しの沈黙の後、安室さんがぽそりとつぶやいた。
ここからだと安室さんがどんな顔をしているのか見えない。
「安室さんは、すごい探偵さんですね。」
「…?すごい?」
「悪い人から何かは知らないけど『何か』を受け取ったあと、ちゃんと病院に行くよう心配してましたもん。普通しないですよ。」
「…。」
「安室さんはやっぱり安室さんでした。相手から確実に受け取れるよう、家族のこともをすごい下調べ?調査?探偵のことはわからないけど、してたんじゃないですか?」
「…めぐみさん。」
「わざわざ怖い人のふりして、演技力凄すぎて私も怖かったですよ。迫力がすごかった。確かにあんな怖い人のふりは見られたくないですよね。私もレディースのころの私は見られたくないや。ふふ」
「それは演技じゃなくて、事実でしょう。」
「はっ。」
「ふふっ。あー、やばい。」
「やばい?」
安室さんは私の膝から起き上がると、ベッドに手をつき、ぐっと私に詰め寄った。
「めぐみさん…。」
そっと私の頬に手を触れた。そして、私のメガネを取り払うとベッドサイドの棚に置いた。
「どんどん貴方に惹かれる。」
「…あ、むろさん……。」
少しずつ近づいてくる安室さんの表情が何かを乞うような、何かをせがむような表情で、私は拒むことができなかった。