第23章 バーボン
安室さんとカーテンを買いに行った日の夜は私はたまに行くバーのお仕事に行っていた。
バーでお仕事といってもこちらでは全然接客はしない。
本当にマスターのお手伝い程度で、黒の組織の何か情報はないかと、お客さんの会話を盗み聞きしたりしている。
しかし今日マスターに頼まれたのは車の掃除と洗車、ガソリンを入れたりといったことだった。あとは買い出しだ。
バーは怖い男性も多いからって、マスターの勧めで簡単な男装をしているが、今日はその必要もないだろう。
適当な服を着て、帽子をかぶってメガネをつけて。うん。いつも通りの私だ。
買い出しを終え、マスターのいるバーに届けたあとは、ガソリンスタンドで洗車だ。
真っ黒なクラウン。
後ろの窓は黒塗りにしてあってかっこいい。
ホイールは煌めくシルバー。
これだけの車を洗車するのは気持ちいいものがある。
よし。ピカピカだ。
大満足である。
車内も掃除機をかけたりしていたら、夜もすっかり遅くなってしまった。
ここが24時間営業でよかった。
今は誰もいないようだし、このまま車を止めさせてもらってその間に裏を入った反対側の道にあるコンビニで晩御飯を買うことにした。
財布を片手に私はガソリンスタンドの裏側に回った。
けっこう暗い。
ここはコナンの世界だ。
犯罪率はすごい。
気をつけないと。
あまり足音を立てぬよう素早く歩く。
暗めの服を着ているから少し安心だ。
少し路地を進んだ時、道の先から男たちの声が聞こえてきた。
…ケンカしてる?
巻き込まれでもしたら大変だと思い、私は引き返そうとした。
…が、一人の男性の声が知っているような気がした。
そっと息をひそめ、耳を澄ませた。
「早く吐いたほうが身のためですよ?」
「…ぐっ…はな…せっ」
「貴方もこれ以上痛い思いはしたくないでしょう?」
「…ぐあぁっ」
曲がり角からそっと覗くと、暗闇の顔でも目立つ綺麗な金髪。
聞き慣れた声。だけど…私も聞いたことない暗い怖い声。
…安室さんだ。
倒れて肩から血を出している男の、傷口をぐりっと踏みつけている。
安室さんに踏みつけられ、男は痛みで悶えていた。