第21章 調整はおまかせ
ニコニコと笑いながらマスターと話をしている安室さんはスマホを切ると私の方をみた。
「今日はもう店じまいですって。」
「え!?」
「取材のためにお店を綺麗にしたいみたいです。めぐみさん一緒に買い出しに行きましょう。」
「え!?今から!?」
「はい、マスターの指示です。カーテンを新調したり、観葉植物増やしたり他に僕たちが気になるところは買い替えて構わないとのことです。」
「マスター…気合い入ってる…!」
「取材が嬉しいんでしょうね。さ、オモテを締めてきますね。お客さんちょうどいませんし。」
「わかりました。」
全てをしまい終わって、裏口から一緒に出る。
「なんで、安室さんに電話したんでしょう。」
「僕が車あるからじゃないですか?めぐみさんに電話すると一人で歩いていくでしょう?」
「たしかに。じゃあ…車お願いします。」
「お任せください。デートですね。」
「違います。仕事です。」
そう言って私は帽子を深く被った。
近くのコインパーキングに停めてあったナナちゃん。
バイトに車で来てコインパーキングって…安室さんがお金のためにポアロで働いてるとは違うんだろうなって思ってはいたけど…。
小五郎のおっちゃんの近くで修行のためにここまでするなんて、すごいな。
……おっちゃんには悪いけど、修行になってるのかなー。
安室さんの謎解きは見たことはないけど、普段の会話とかふるまいでどうみてもおっちゃんより安室さんの方が頭良さそうだ。
「さ、どうぞ。」
「よろしくお願いします。」
私はナナちゃんの助手席に乗り込んだ。
今まで何度か買い出しに乗せてもらったりしてきたが、何度乗っても緊張する。
「あのお店でいいですかね。」
あの店…北欧のあのお店。あそこなら家具やカーテンや観葉植物、全てが揃っているだろう。
「はい」
少し距離があるということで、お店に残った、アイスコーヒーをテイクアウト用カップに二つ用意して、私たちは出発した。