第21章 調整はおまかせ
あの沖矢昴さんが実はめちゃくちゃ重要人物で、コナンくんともかなり関わりがあると分かったのが昨日。
急に連絡を途絶えてしまうのも変だと思って、ミステリー小説を借りたことへのお礼のメールだけは送っておいた。
なぜ彼は私に近づいてきたのだろうか。
何か私が怪しかったから?
いやでも、私とコナンくんが顔見知りだということを知らないようだった。
本当にただの偶然なのか…
わからない…わからないからこそ、これからどうやって彼に接していけばいいのか手をこまねいてしまうのだ。
「すごい怖い顔でパソコン睨んでますね。」
「…あ。すみません。」
仕事中だった。
パソコンの画面を閉じてわたしは立ち上がった。
安室さんはまかないのサンドイッチを持ってきてくれたようだ。
「何かあったんですか?」
「いえ。シフト考えてただけです。」
バックヤードのテーブルの上に置いてくれたサンドイッチの前に座り手を伸ばした。
安室さんもわたしの横に座る。
「今お客さんは?」
「今はいませんよ。一緒に食べましょう。」
「はい。あ、まって、マスターからメールだ。」
マスターからはかなりの長文だった。
「すごい…」
「どうされたんです?」
「あ、なんか雑誌の取材がくるみたいです。ポアロに。」
「…取材…ですか。」
「来週みたいですね。…何の取材かまでは書いてないけど、すごいなー。看板娘と看板息子でポアロが有名になっていくね。」
「……。」
「安室さん?」
「あ、すみません。それっていつですか?」
「来週の金曜日です。あ、安室さんは出られませんか?」
「そうですね。その日は難しいかと思います。」
「看板息子は無理かー残念。じゃあ梓さんには頑張ってもらわなきゃね。」
スマホのメモ機能に金曜のシフトをメモしておく。
もちろん隠れて過ごしてる私も雑誌の取材は難しい。
安室さんが雑誌に出たら絶対ポアロ人気になると思う。
じーーーっと安室さんの顔を見つめた。
うん、やっぱりイケメンだ。
「何か?」
「いや、安室さんが雑誌でたらすごいことになりそうだなって。」
「すごいこと?」
食べ終わった安室さんはすっと私との距離を詰めてきた。
私は慌てて手に持っていたサンドイッチを口に頬張った。