第18章 ポアロにて
安室さんは私の目をじっと見ながら、シャツの中に手を忍ばせた。
「もう…だめだって」
「せっかくのクリスマスですよ?」
「…関係ないよね。」
「バレました?」
ブー、ブー
と、遠くからバイブ音。
きっと安室さんの上着からだろう。
「あっ、けい…」
「黙って。」
携帯が…って言おうとしたら、無理矢理口付けられた。
「…っ…」
「離れたくない。」
「…んっ」
少し痛いくらいにくちびるを噛みつかれた。
ブーブー
今度は先程より近くから。
安室さんのパンツからだろうか。
いったいいくつ携帯をもっているんだろう。
「はぁ…」
「安室さん…?」
「貴女を一回くらいイカせたかった。」
「…何言ってるんですか。」
「今、声出さないでくださいね。」
そう言って、パンツのポケットからスマホを取り出した。
「…なんだ。」
真剣な表情で電話を出てはいるものの、膝には私が鎮座しているため、なんか間抜けだ。
私は黙って安室さんの膝から降りようとしたが、安室さんの左手がそれを許さなかった。
腰にがっしりと回ってまったく動かない。
くすぐるかどうにかして抜け出してやろうかと思ったが、電話の邪魔をするのはどうかと思って大人しくした。
「あぁ…あぁ…それでいい。もうすぐそちらに向かう予定だ。それまで頼む。」
そう言って安室さんは電話を切った。
「…いってらっしゃい。お気をつけて。」
「…名残惜しい。」
しゅんとしている安室さんの頭をよしよしと撫でた。
「頑張って。」
「ん、頑張れそう。」
ぎゅっと最後私を抱きしめて、私達は立ち上がった。
「…すみませんが、僕がここにきた事はいつものように」
「はいはい。内緒ですね。探偵さんは色々大変ですね。」
「すみません…。」
「クリスマスに2時間だけ私と過ごして、ここにきた事内緒って、なんか沢山彼女いる人みたい。」
笑いながら言うと、安室さんもギョッとした顔で首を振った。
「勘弁してくださいよ。」
「冗談ですよ。無茶せず、怪我なし、頑張って。」
「はい。」
私の頬を指で撫でると「メリークリスマス。」と言って、裏口から出ていった。