第16章 似合う
もうすぐ7時になる。
準備をしなくちゃいけないのに…
「あ、あの安室さん…」
「キスします。」
「はっ!?宣言!?」
私から腕を離し、近づいてくるイケメンの顔。
「ま。まって…!」
「あの男とはできるのに?」
「いや、あれは酔って覚えてないっ」
「ほぉー、覚えてない。それは聞き捨てられませんね。まさかとは思いますが、これは昨日の男が?」
私の顎を掴み横を向かせた。あまりの勢いによろけて身体が傾いた。
安室さんは私の首の後ろの赤いシルシに指を這わせた。
「ひゃっ…」
「もちろん気づいてましたよ。どれだけ僕がダサいといってもやめないあの髪型をしてなかったので、何かあると思ってね。」
すーっと安室さんの指が私の首を撫で、
ゾクゾクとして私は目をキュッと閉じた。
「これも覚えてないと?」
「…はい。」
ギリっと安室さんが歯を噛み締める音がここまで聞こえた。
ベロリと、安室さんが私の首を舐め始めた。
「きゃっ…安室さんっ…!」
驚いて安室さんの肩を掴んだが、動きは止まらなかった。
耳にかけて舐め上げ、耳たぶにわざと音が出るようキスをした。
「んんっ…」
「こんなことをあの男としていたのかもしれませんよ?」
「っ!」
耳元で低く安室さんが言った。
髪の毛をサラリと避け、私を少し後ろに向かせると安室さんはそのシルシをねっとりと舐めた。
「ふっ…んんっ」
腰がひけてしまったが、安室さんにがっちりと手を回される固定された。
ピリっとした痛みが首に走った。
「やっ…!」
「僕のシルシに変えておきました。」
「…」
涙目になって安室さんを睨むように見上げると意地悪そうに笑った。
「なんです?その顔、もしかしてシルシは彼のままがよかったとか?」
「そんなわけではないけど!やり方が…!」
舐めるなんて!と、首元に手をやった。
もうすぐ仕事だというのになんてことをしてくれたんだろう。
「あと1・2分ありますね。こっちも上書きしないと。」
腕時計をみて、安室さんが言った。
そして、私の頬を両手で掴むと、噛み付くようなキスをした。