第143章 日本を愛する貴方へ
赤井さんと別れ、零さんを連れてもう一人…彼の場所へ。
私が是非会わせてあげたかった人。
零さんの腕をひき、参列してくれていた後ろの席の方へと来た。
「…貴方はーー…」
「お久しぶりですね。」
「…っ。」
「お兄さん…。」
「いつぶりでしょうか。確かヒロに紹介された高校生の時。」
ぐっと、零さんの腕に力が入ったのがわかった。
長野からはるばるここまで来てくれたのは、零さんの幼なじみのヒロさんのお兄さん。
相談したら彼のことだから、きっと弟の死も、友人である零さんが“ゼロ”であることも気付いているだろうと言っていた。
「私が黒田さんに無理を言って呼んでもらったの。…勝手なことしてごめんなさい。」
「大丈夫。知ってます。ーー…ヒロのこと。ありがとう。」
「…っ。しかし僕はヒロをっ!」
「貴方のせいではない。警察に入る前、『ゼロ』という友人の話しはよくヒロから聞いていた。“泣いて馬謖を斬る”(ないてばしょくをきる)貴方のことだからきっと自分を責め己の感情を捨て、立場を守らなければならなかったことでしょう。」
「……。」
「弟は国のため立派であった。弟を誇りに思う。ーーそんな弟の友人でいてくれて、ありがとう。最後まで共にいてくれてありがとう。」
「…お兄さん。」
「ヒロの分まで幸せに。」
「はい。ーー必ず。」
優しく微笑む高明さんが手を差し出し、零さんと握手をした。
「めぐみ。ありがとう。あの人に会わせてくれて。」
「ううん。やっぱり、零さんの1番の友達はヒロさんだと思ったの。」
「…そうだな。あいつはこれから先も僕の親友だ。」
私の手を握り、何かを報告するように零さんは綺麗な空を見上げた。