第142章 風見裕也の仕事
誘導通り進むと、宮殿の出入り口を出たところで、降谷さんはほーっと声を上げた。
本当に広い日本庭園が広がっていた。
池もあり、手水、飛石、小さな小川には石の橋。
松に紅葉に桜にーー…日本らしい植木もたくさんあった。
「茶室もあるのか。」
「そのようですね。大丈夫あそこにも警備が入ってます。」
「そうか。」
庭園の入り口に、真っ白な白無垢を着た姫と、2人の巫女衣装をきた職員がいた。
「待たせてるな、急ごう。」
「はい。ーー…では、降谷さん。よろしくお願いします。」
「あぁ、姫の横は僕が守ろう。」
姫は先程とは打って変わって真っ白な大きな帽子ーー花嫁特有の綿帽子を被り、打掛が地面につかないよう指先で少し持ち上げ、きちっと指先を揃えていた。
よく見るとただの真っ白ではなくうっすらと菊の花模様も見え、降谷さんと同じくかなり上等な着物であろうと思った。
「お待たせしました。いきましょうか。」
緊張した様子の姫は降谷さんの半歩下がって横に立ち、ゆっくりゆっくり巫女の後ろを歩いた。
真っ赤な口紅が白に映えて美しかった。
自分は降谷さんの後ろに立ち、花嫁に傘を差し続けた。
ーーーまさか自分がこの役をやろうとは。
溢れそうな想いに蓋をして、ただ2人の後ろを歩き続けた。