第142章 風見裕也の仕事
もう何ヶ月も張り込み、計画を練り、他の捜査員とも話しあった。
これだけは失敗できない案件なのだ。
「そろそろですね、風見さん。」
「あぁ、これほどの案件…失敗するわけにはいかない。」
暗い部屋の中、私と香山は互い向き合い、頷いた。
「さぁ!おもっいきりやるぞ。自分も容赦しない。」
「わかりました。じゃ…やりましょう!」
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「で、揃いも揃って顔に怪我か?」
「…すみません。」
警視庁の会議室で私と香山は頬に貼った湿布を撫でた。
「酔っぱらいの喧嘩なんて所轄に任せろ。公安がでるんじゃない。」
「普段でしたら通報のみで自分は出ないのですが…、その時は子供が巻き込まれそうになってまして…、あんなボクシング経験者が喧嘩の中にいるとは知らず。」
「で、ボコボコにされたというのか、まったく聞いて呆れるな。」
降谷さんに大きなため息をつかれ、自分と香山は俯いた。
「それで、なぜ僕を呼んだ。その酔っぱらいが実はテロリストだったのか?」
腕を組み机にもたれかかる降谷さんに私は首を振った。
「実は今日、自分は潜入をする予定でして。」
「あぁ、あの外務省を通じて頼まれた案件か。」
「よくご存知で。」
「そのくらい把握してる。僕は担当じゃないがな。」
「自分と香山が行く予定でした。」
「…まさかと思うが、僕に変われとか言わないよな?その怪我が原因で。」
「…さすが降谷さんお察しがいいですね。」
降谷さんはもたれていた机からこちらに一歩すすみ、椅子に座っていた私たちを恐ろしい顔で見下ろした。
「顔を殴られた程度で仕事ができないと言うのか。」
「…それが…顔が重要なんです。今回のやつは。」
香山と私は震えながら、降谷さんを見上げ、そう言った。
そうーー…自分達じゃなく降谷さんにしか出来ないんだ。