【R15】キャラメル デェア ディアボロ【ハイキュー夢小説】
第4章 岩泉一と飴玉
「好きな所を伝えたらまた口付け合い飴を舐める。そしてまた好きな所を伝える。それを五回繰り返したら飴が無くなるまで舐め続けてね。そして舐め終わった後に自分の名前を呼ばなさい。普段と違う呼び方をしたら、好きな子はボウヤに惚れた証拠にだからね。ふふっ、誘惑されたかしら?」
相手を惚れさせる飴玉なんて聞いた事が無い。そもそも信憑性もなくて、彼女に嫌われる原因を作るだけだと岩泉が思った。
が、その考えすら読まれたのか、美女はクスリと笑ってから言い放った。
「知ってる人がいないのは当然。だってこれは悪魔の惚れ薬なんだもの」
「あく……ま?」
確かに目の前にいる美女は美し過ぎて、悪魔だと言われたら信じてしまいそうになる。
でもここはファンタジーの漫画の世界ではない。
大人にからかわれているのではないのかと、話を聞いてしまった事に耳が赤くなってしまう。
すると美女はヒールの音をカツカツと鳴らしながら歩み寄り、岩泉の掌にコロンと飴玉を落として言う。
「もう今ボウヤに飴玉はあげちゃったわ。もう飴玉はボウヤのモノだから、捨てるのも使うのもボウヤの自由よ」
「いや……俺は…………」
岩泉は手にある飴玉を見ながら言葉を探していると、美女に言われる。
「好きな子の彼氏になりたいんでしょ?」
「そ、それは……」
そんなのなりたいに決まっている。仲良いい幼馴染から恋人になれるならば、なりたいと答えるのは好きなのだから当たり前だ。
「ふふっ……。じゃあボウヤが使いたくなる様に、コッチの飴玉の使い方も教えておかなきゃね」
美女の長い指が岩泉の手の上にある紫色の飴玉を転がして言う。
そうだ。飴玉は二つなのに説明は一つしかされていない。
てっきり二つとも同じ効果を持っているのかと思ったのだが、違うらしい。
「こっちの飴玉はねぇ……」
美女が余りにも絵になる様に髪の毛をたくし上げながら説明するのを、岩泉は聞き入ってしまうのだった。
◆
「おっじゃましまーす!アレ?おばさんいないの?」
「町内会の飲み会あるとかで、隣の早川さんと早々に出掛けて行きやがったよ」
月曜日。約束通り、髪の毛を切る為に彼女が岩泉の家に訪ねてきた。