第10章 女神の代理人の手腕
私はと言うと、こっそり残った料理を摘まみ食い。あちこちで、生唾を飲む音が聞こえるが無視だ。
そして、ルー様が今回も笑顔を見せてくれて、ちょっとした騒動となった。やっぱり、イケメン。
「それで、それは?」
あ、見逃してくれなかった。振り返れば、敏腕小姑がいた。
「・・・いただきます。」
無視して齧りついた。蒸しパンだけに。でも、残りはルー様によって奪われた。
「独り占めとは感心しないな?ん、これは甘味か。」
「独り占めなんて。後でルー様には休憩時間にお出ししようと思っていました。」
「ふむ、ま、そういうことにしておこうか。それより、凄く美味しかった。」
おじ様二人は、まだ泣いていた。何故か、初めて食べるのに故郷の味がすると言う。うん、気に入ってくれたのならそれでいい。
その後、無視した腹いせか敏腕小姑に、レシピを書き出す作業を申し付かった。だったら、書いてやろうじゃない。そして、私が認めなければその料理として出すことは禁止した。
つまり、試食に預かれる。これからの楽しみにしておこう。
一先ず、これで良かった・・・なんて、安心していたら。あのリンツ皇子が婚約者を伴いまた訪問して来たんだ。
そう、我儘だという王女を連れて・・・。
今回もサッさと、国に帰って欲しい。そう願わずにはいられない。そして、今度は我儘王女から私との謁見を求められた。
最近忙しかったから、引きこもりたかったのだけどなぁ。でも、自由にさせて貰っているし会うくらいならと了承すれば・・・ブチ切れたのは、何を隠そう王妃様だった。
見た目は王女なだけあって整ってはいると思う。そして、私は比べるでもなく貧相なのは分かっている。その事は私自身が分かっているからいい。
でも、王女が私を付き人として雇うと言った時、ルー様より王妃様が大激怒した。息子であるルー様でさえ、たじろぐほどに・・・。
そして、王女は・・・いや、リンツ皇子共に国から放り出した。二度と、滞在を認めないと国に抗議するのも忘れなかった。
王妃様は、それほどに私を・・・。感動で、つい目を潤ませれば、不穏な台詞が。
「何が何でも、かおりはルーチェスの嫁。誰にも奪わせるものですか。さぁ、制裁はこれだけではありませんよ。フフフ。」