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【R18夢小説】手に入れたモノを護る為に【HQ/影山飛雄】

第10章 第六話 悪阻


 本当に衰弱してしまうのではないのかと、不安で仕方ない。
 悪阻を変わってやる事が出来るのならば、今すぐにでも変わってやりたかった。でも、そんな事は出来ないので、少しでも伊織が悪阻で動けない分、俺が動いてやらなければならない。
 食べられそうな食事を見付ける事も、身の回りの世話も、周りに悪阻による体調不良を気が付かれない様に配慮する事も。それが今の俺の役割だ。
 少しぬるま湯の湯舟に入れ、吐き気を抑えるツボを押してみる。悪阻に効果があるとは期待出来ないが、しないよりはマシだから。
 伊織は俺にマッサージされるのが好きらしく、マッサージ中は幸せそうに眼を閉じて、されるがままにしている。
 俺も伊織の身体を触れて気分が良いし、伊織の為になる事が出来るので好きだった。

「……長湯は良くねぇから、そろそろ出るぞ」
「うん……そうだね…………」

 湯船から出て、濡れる身体を拭いてから脱衣所に戻る。
 柔らかいタオルで伊織の身体の隅から隅まで、念入りに拭いていく。濡れる髪の毛を拭きながら、伊織の体調を常に気にして声をかけた。

「吐き気、どうだ?」
「……少し治まった、かな」
「何か食いたい物はあるか?また、ゼリーにしておくか?」

 俺の言葉に少し考えた様子の伊織は、笑顔で答える。手は子宮の上を撫でながら。

「ゼリーにしておくね」
「分かった。早くお前が吐かずに食べられる食事、見付けてやるからな」

 ギュッと優しく抱き締めて、後頭部を撫でてやれば、伊織は俺に抱き着いて離れようとしない。
 悪阻が酷い伊織にはキスすら出来ず、抱擁が負担なく出来る唯一の愛撫であった。
 肩を撫で、腰を撫で、最後に子供が居るお腹に手を添えてやる。俺が子供の居る腹を触ってくれるのが、伊織にとって幸福らしい。
 自分と同等に子供を愛してくれていると、思えるらしい。勿論、俺は伊織の腹の中に居る子供の事も愛している。


 俺と伊織の愛の結晶である我が子を、愛さない理由がない。


 服を着て、全裸の伊織を抱き抱えて伊織の部屋へと戻る。ベッドの上に下ろしてやり、栄養補助食品のゼリーを渡すと伊織は少しずつだがゼリーを飲んでいく。
 その姿を見ながら、妊娠初期の悪阻が酷い妊婦向けの食べ物を調べる。

「小魚やバナナが良いのか……。お菓子タイプの煮干し探してみるか……」
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