第68章 約束の桜
エルヴィンは思わず小さく吹き出すと
「相変わらずお前は、俺に酷なことをするな。」
そう言った後、エマに視線を向け、
「だが、俺はエマが結婚していても構わないよ。
リヴァイを嫌になることがあれば、
いつでも俺の元に来い。」
と、エマに微笑みかけた。
「おい、祭壇の前に立ってる男が
花嫁を口説くな。」
リヴァイは眉間に皺を寄せ
突っ込みを入れた後、
「お前も赤くなってんじゃねぇよ……」
そう言って呆れた表情でエマを見る。
「……す、すいません……
でも、エルヴィンさん今、
俺って言ってたから……
ちょっとびっくりして……」
「そうか。エマはこういう
ギャップに弱いんだな。」
「待て。
何勝手に盛り上がってんだよ。」
三人のやりとりを聞いていた参列者は
笑い声を忍ばせようとしていたが、
ついに堪えきれず、
教会内は次々と笑いだす参列者の
明るい声に包まれた。