第68章 約束の桜
祭壇の向こうに立っていた人物を見て、
エマはしばらくその場に立ち竦むが
「……そ、そこで何してるんですか……?
エルヴィンさん……」
と、震える声で問いかけた。
「エマ。それは私が聞きたいよ……」
黒いローブに身を包んだエルヴィンは、
分厚い本を祭壇に置く。
「この場所とは、
私が一番縁遠い人物だと思うんだが。」
「そんなことはねぇだろ。
人前式なんだから、
お前は司会者みたいなもんだ。
その服も、お前が一番似合うしな。」
リヴァイはそう言って頬を緩めながら
エルヴィンに目を向け、
「それに、お前の目の前で誓う事で、
お前だってこれからエマに
手を出しにくくなるだろうが。」
と、ニヤリと笑った。