第68章 約束の桜
「エマ。用意は出来たのか?」
着替え終わった直後、
小屋の外で声が聞こえ、サラがドアを開ける。
「おじちゃん!来てくれてたんだ!」
エマは椅子から立ち上がり、
小屋に入ってきたピクシスに視線を向けた。
「当たり前じゃろうが。
娘の結婚式だぞ?
エマとバージンロードを歩くのは
ワシの役目じゃろうに。」
「………ありがとう。」
思わず涙ぐみそうになるエマに
「おいおい、まだ泣くには早いぞ。」
ピクシスはそう言って、
エマの肩を優しく摩る。
「もう式場に皆揃っておる。
参列者をいつまでも待たすわけにもいかんから、
早速入場するとしよう。」
「えっ、まだリヴァイさんと何も話してない」
「そんなことは後で良かろうに。
式が終わってから、
感謝も不満も伝えればいい。」
ピクシスはエマの言葉を遮り、
ニヤリと笑うと
「ワシもリヴァイには
色々言いたいことがあるからのう……
後でゆっくり話し合うつもりだ。」
そう言って、エマの手を握った。